2011-11-23

ウィンウッドはこんなミュージシャン

来日公演でスティーヴ・ウィンウッドの知名度は上がるだろうけど、まだ良く知らない人も多いだろうから、ウィンウッドに関する興味深いことなどをまとめてみました。詳細のリンクは主に自分のライブレポートあるいはブログの記事です。思いついた事から順に書いたので、わりとよく知られていることを書いてない場合もあります。本格的なバイオグラフィーはstevewinwood.infoのサイトをどうぞ。

(お断り:この記事は必要に応じて更新します。追加/更新した事柄はで表示。最終更新日:2012-02-20)

音楽一般
・少年の頃、伝統的なクラシック中心の音楽学校に通ったが、14歳の時『自分はチャック・ベリーやファッツ・ドミノなどが好きだ』と校長に言ったことがきっかけで退学させられ、プロの音楽家としての道をめざす(15歳でスペンサー・デイビス・グループに加入)。スティーヴは高校や大学も出ていないが、今世紀に入ってから名誉博士号を2つ授与した。生涯で持ってる学位が『名誉博士号』だけというのは非常に珍しい。[詳細1] [詳細2]

・子供の頃から様々な楽器に親しむ。そしてギター、ピアノ、オルガン、そしてソウルフルなボーカルもマスターし、天才少年として有名になる。スペンサー・デイビス・グループに在籍中、ベースを担当していた実兄のマフに『スティーブの方が自分よりベースがうまい』と言われる。

・ボーカルはもちろん、キーボードやギター、ベースを主に演奏する。ギターもうまいが、オルガン奏者としても有名。ビリー・ジョエルはウィンウッドのことを『いつも最適な音を出して演奏する』と絶賛している。

・(更新)ウィンウッドはミュージシャンの中のミュージシャン。多くの有名ミュージシャンがウィンウッドのことを尊敬しています。エリック・クラプトン(自叙伝を参照)、ビリー・ジョエルジンジャー・ベーカーサンタナトム・ペティホイットニー・ヒューストン、ジミヘン、ポール・ウエラーなど。

・ソウルフルなボーカリストとしても有名。米ローリング・ストーン誌のボーカリスト部門のランキングで堂々の33位(リストはこちら)。それからあまり知られてないと思うがウィンウッドの声量はすごいです。歌うときはいつも口を大きく開けている。

・近年のソロ活動では5人編成のバンド(org,g,sax,perc,dr)で演奏している。ベースはいないが、スティーブがオルガンのフットペダルや左手でベースパートを演奏する。

・ライブ中に観客に手拍子や立ち上がることを求めることは滅多にないが、演奏する音楽だけでいつも盛り上がる。ライブは見た目の派手さはないが、音楽だけで勝負している。音楽職人である。

・スティーヴが語る『ミュージシャンとして成功するための11の秘訣』は彼らしい考えに基づいていて興味深い[詳細]。

・自分に影響を与えた4曲は 1. Well all right(Buddy Holly)、2. What'd I say(Ray Charles)、3. The Sermon(Jimmy Smith)、4. In a silent way(Miles Davis)。[詳細]

・若い頃はインタビュー嫌いだったそうだが、近年は非常に多くのことをインタビューでしゃべっています。彼らしいユーモアに富んだ応答もあり。

・ソロのヒット作であるBack in the high life (1986)やRoll With it(1988)の頃の音作りは実は気に入ってないとインタビューで何回も言っている。当時は時代を反映してあのようなポップ路線の音作りになったとのこと。また80年代の曲のリメークをする方針だと言っていて、実際Spanish Dancerのリメークがレボリューションのボックスに収録された。


・ソロアルバムのおすすめは近年のウィンウッドを知りたいのならAbout Time (2003)。オルガントリオ(org, g, dr)での演奏が基本で、スティーブはハモンドB3を弾きまくっています。何回聞いても飽きない名盤。デラックス盤にはVoodoo Chileのカバーを収録(これもオルガントリオ)。そしてAbout Timeが気に入ったらNine Lives (2008)をどうぞ。ベスト盤なら4枚組のRevolutions ボックスセットは音が格段によくなっていておすすめです。

スティーブ・ウィンウッドとエリック・クラプトン
・1969年にクリームを解散したクラプトンとトラフィックを解散してフリーになっていたウィンウッドが一緒になり、そこにジンジャー・ベーカー(Dr)とリック・グレッチ(b)が加わってブラインド・フェイスを結成。このバンドは結局1年しか活動しなかったが、アルバム(Blind Faith)を発表し高い評価を得る。またイギリスのハイド・パークで10万人を集めたフリーコンサートを行い(DVDが発売済み)、ヨーロッパとアメリカでツアーを行った。

・ウィンウッドはエリック・クラプトンに多くの影響を与えている。ブラッキーが誕生したのは、スティーブがストラトを弾いているのをエリックが見て、自分も弾いてみたいと思ったのがきっかけ。[クラプトンの自叙伝など]

・クラプトンはクリームのバンドにウィンウッドをキーボード奏者として加えたいと当時思った 。また同様にエリックはクリームの再結成コンサート(2005年)にもウィンウッドを参加させたいと思ったが実現せず。[詳細]

・スペンサー・デイビス・グループ在籍時のライブでスティーブが演奏するジョージア・オン・マイ・マインドを聞いてエリックは感動した。ちなみにMSGのライブ(2008年)でウィンウッドはこの曲を40年ぶりに演奏したが、この曲をリクエストしたエリックはおそらく未だに昔の感動が忘れられないのだろう。

・2人が初めて(レコード上で)共演したのはEric Clapton & The PowerhouseのWhat's Shakin'(1966)のアルバムである。ゲスト参加したスティーヴは、このアルバムに収録のクロスロード(Robert Johnson作曲)でボーカルをとっている。ご存知のようにクロスロードと言えばクラプトンの演奏で有名だが、彼が行ったこの曲の最初の録音がこのアルバムに収録されてある。しかしその録音でボーカルをとってるのが実はウィンウッドだと言うのは興味深い。

・スティーブは近年出たクラプトンの自叙伝を読んで、ブラインド・フェイス時代のクラプトンの内面をいろいろ知ったそうだ。ブラインド・フェイス結成はジンジャーベーカーがエリックとスティーヴがジャムっているところにおしかけたのがきっかけだが、そのときエリックは、ジンジャーにバンドに入って欲しくないと思っていた。このことはファンの間では昔から良く知られていると思うが、スティーブはエリックの自叙伝を読むまでそのことを知らなかったそうだ!

・エリックとスティーヴは一緒に釣りに行ったりすることもあるらしい。

人柄、家族など
・普段のスティーヴはとても目立ちません。楽器を弾いていないときのスティーヴはごく普通のおじさんです。自分はコンサート前にスティーブと遭遇したときもあったけど、よく見なければ気づきませんでした。。。あと2007年のLA公演で、コンサート会場に入るスティーブを見たけど、ほとんど誰も気づいてませんでした。(そういう自分も隣の人に言われてやっと気づいたくらい)

・イギリスでは自宅近くの教会で日曜日の礼拝にオルガンを弾く事もある。

・自然をこよなく愛している

・スピーチはあまり得意でない。コンサートのMCでもあまりしゃべらず、また特に面白くもない。でも音楽一筋だから気にしてないのだろう。

・2011年9月にウィンウッドの長女(メアリー・クレア)が英王室の親戚と結婚した。チャールズ皇太子夫妻とウィンウッドが同じ写真に写っています。[詳細] ちなみに2人が初めて出会ったのは2008年にNYで行われたエリック・クラプトンのコンサートだったそうです(同年2月のクラプトンとウィンウッドのMSGコンサートのことなのかも知れません)。

・子供が4人(Mary-Clare, Eliza, Cal, Lilly)いるが、自分の音楽にあまり興味を持ってないようなことを言っていた。末娘のリリーはギター、カル君はドラムをやっている(クラプトンとのMSGライブで、ドラムの真後ろに座っているのがDVDに写っている(詳細))。

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