2016-12-30

2016年のウィンウッドを振り返って

今年は6月と7月にSteely Danと共に全米ツアーを行った(全25公演)。ウィンウッドがソロツアーを行うのはこれで14年連続。また幸運にも自分は6/16に Mountain View, CAのライブに行くことが出来た(ハプニングに見舞われたが)。でもツアー以外に目立ったニュースがなかったのが残念。今年1月にWinwoodのライブアルバムの製作が進行中だと書いたけど、その後情報がありません。。。

来年は春のソロツアーが予定されています。またfacebookなどに出ているように、7月にドイツのシュトゥットガルトでライブが予定されているので、ヨーロッパツアーに発展しそうな予感がします。

それでは皆さんよい年末年始をお過ごしください。

2016-12-29

Back in the High Life (1986)の陰の立役者

ずっと先延ばしにしてたけど、今年中にこの記事はアップしなければ、、、今年2016年はBack in the high lifeの30周年にあたるので。

ウィンウッドは1974年のトラフィック解散後はスタジオに籠もりがちになっていた。Chris Blackwellなどがなんとかしてスティーブをスタジオから出そうと努力したが成功しなかった。ブログで詳しく書いたようにソロ1作目のSteve Winwood (1977)のレコーディングの時にですでに引きこもりに近い状態。Arc of a Diver (1980)とTalking Back to the Night (1982)の時は自宅のスタジオで一人でアルバムを作ったのは有名な話。後者の録音の頃は、以前紹介したLynn Goldsmithの本に出てくるようなエピソードやアルバム制作時の話などからも当時の状況がわかります。

だけどなぜ、Back In the High Life (1986)の時はそれまでとは全く正反対に自分のスタジオを出て、NYまで行きレコーディングをしたのか。いったい何があってそこまで改心したのか。。。そのことが以前からずっと気にかかっていた。
実はたまたま見つけた本にその経緯が書いてあった。Ron Weisner著のListen Out Loud (Lyons Press, 2014)である(amazon.com)。彼は様々な大物ミュージシャンのマネージャーとして活躍し、 Michael Jackson, Paul McCartneyや Madonnaも手掛けた。彼はBack In the High Lifeのアルバム制作時にスティーブのマネージャーになって陰で大きな力になり、スティーブの実力をNYで十分発揮できる環境を整えた。彼の名は『マネージャー』としてこのアルバムのクレジットにのっている。彼がいたからこそ、スティーブは自分のスタジオを出てNYへ行き、多くのミュージシャンとレコーディングをするに至ったのである。

この本の各章は今までに彼が担当したミュージシャンに関する話になっていて、その第10章のタイトルはずばり “Winwood”。以下はこの章のネタバレです。

長年ウィンウッドの大ファンだったため、Ron Weisner氏はスティーブにコンタクトして、ぜひ彼のマネージメントをしたいと思った。しかし最初は単純な道のりではなかった。そもそもスティーブに、今までまともなマネージャーに出会ったことがない(ようするにChris Blackwellが好きでない!)と言われ、かなりの慎重姿勢で臨まれる。
しかし彼はスティーブに親身に接し、いっしょにいい関係を育んていけるように努めた。アメリカのLAからイギリスのスティーブの自宅を訪れて話し合いを持ったが進展がなく帰国。そして2週間後にもう一回訪れまた帰国。そういうことを『何回も』繰り返し、ようやくスティーブが心を開いてRonといっしょにやっていくようになった。この本にはこれに関するスティーブのコメントがのっていて、それによれば『ロンは何回僕のところを訪れたのかわからない。とにかくたくさん来た。彼はイギリスで他にも用事があったのではないかと思いたいが、もしそうでないなら彼に謝らなければならない。』実際ロンはスティーブに会うこと以外にイギリスで用事がなかったのだ(そういうことすらスティーブは未だに?知らないというのはいかにも彼らしい)。でもロンの行動力には脱帽あるのみである。

2人3脚の体制を整えてから、ロンは『今回のアルバム作成は自宅のスタジオを出てやるべきだ。ロンドンでもなく、NYでやるべきだ』と強く働きかけた。もしいいプロデューサーがいれば、すべてを君がやる必要がない。それにNYにいればベストのミュージシャンがたくさんいる。ロンはRuss Titlemanをプロデューサーとして推し、その次のイギリス訪問時にはRussも同行した。3人で話し合ううちにスティーブがだんだんやる気になっていくのがロンには分かった。スケジュールを話し始めるとスティーブが聞いてきた。『僕はいつNYに行けばいいですか?』

そうして、スティーブが多くの著名なミュージシャンとNYで録音したことに関してはみなさんご存知の通り。ロンが作り上げた環境の中で、スティーブは自分の仕事をすればいいだけだった。

またロンはマイケル・ジャクソンのBillie Jean' や 'Beat It’のビデオに関わった経験から、ミュージック・ビデオの重要性を認識していたので、スティーブにも派手なビデオ出演をするように促した。Higher Loveのビデオなどはそのいい例。レコーディングが終わってからは自然とツアーをやる方向になっていた。スティーブがロンの言うことに素直に従うということは、イギリスで初めて会ったときの彼の消極的な態度を思えば信じられない展開であった。彼は本当に音楽がやりたいので、それができるようにロンがサポートに徹したのがよかったのだった。余談だが休憩の時間などになると、スティーブはウクレレを取り出したり、あるいはバンジョー、ベース、ギター、キーボードなどを次々に弾いていく。彼はそのような光景を何回も見たそうだ。

スティーブはもちろんロンに対して最大限の感謝の言葉を述べています。ロンはこの章の最後で、自分がやったことはスティーブが活動できるように場を整えただけだ、とかなり控えめに述べていますが、彼がいたからこそこの素晴らしいアルバムが生まれ、Higher Loveのヒットとグラミー獲得に至ったのだと思います。ロンがいなければBack In the High Lifeは出来なかっただろうし、もしそうなら多くの人々がスティーブの音楽を知る機会もなかったかもしれません。

ちなみにウィンウッドに関するRon Weisner氏の話はRolling Stones誌のインタビューにも出ています(From Mr. Fantasy to Mr. Entertainment )。

2016-12-17

Tina Turnerの曲に隠されたメッセージとは?

今日はちょっと息抜きで。

ティナ・ターナーのこの曲のサビが スティービー・ウィンウッド〜〜 に聞こえます(笑)。しかもそれに続く言葉が、“Zero Visibility”(視界ゼロという意味だけど、visibilityには知名度という訳もある)。従ってこの場合、 ウィンウッドは知名度なしだよ〜〜とティナ・ターナーが叫んでいるように聞こえる。。。ちなみにこの曲がリリースされたのは1989年。80年代といえばウィンウッドの絶好調時代(Roll With Itは1988年)だけど、当時彼女はこんな風にしてスティーブに対抗しようとしたのか!?

Tina Turner - Steamy Windows (Youtubeビデオ)(歌詞

でもこの曲ノリがよくてかっこいいです!さて、スティーブがこれをカバーしたらどうなるか?

2016-12-12

Barrelhouse Chuckさん

シカゴのバレルハウス・チャックさんが本日(12/12)ガンのためお亡くなりになりました。心よりご冥福を申し上げます。
wgntv.com: Chicago blues legend Barrelhouse Chuck dies

初対面にも関わらずご自宅まで招待していただき、コレクションを見せていただいたことに今でも大変感謝しています。一つ一つ丁寧に紹介する彼の目がとても輝いていたのが印象的でした。あの時チャックさんと写真を一枚も撮らなかったことが悔やまれます。

関連記事:著名なコレクター&ピアニストのBarrelhouse Chuckさんが闘病生活(11/27)

2016-12-05

2017年のアメリカ東海岸ツアーが発表(全15公演)

Steve Winwoodの来年春のアメリカツアー(全15公演、ソロ)がオフィシャルサイトで発表になりました!4/20から5/10までです。これでスティーブのツアーは2003年から2017年まで15年連続。これは見事ですね!今回はほぼすべての公演が、大西洋に面している州あるいはそこにとても近い州での開催です。従って東海岸沿いツアーと言ってもいいくらい。(唯一の例外はツアー最後のテネシー州での公演。)従って全米ツアーとはちょっと書けません。。。

GW中に日本から参戦するファンもいるでしょうか。5/1 & 5/2, あるいは 5/5 & 5/6なら距離が比較的近くて移動が楽でしょう。GW前だけど4/20,21,22もそれぞれ距離が近いのでおすすめです。

会場を見ると、ニューヨークシティーでのベーコンシアター(4/21)が目に留まる。ここは熱狂的なファンで盛り上がりそう。それからRed Bank, NJのCount Basie Theatreは自分が2006年に行った思い出の場所。ライブも良かったし会場も素敵でした。でもハプニングにやられましたが。。。(当時のライブレポ

それからスティーブは以前はカジノでライブをすることが多かったけど、今回はありませんね(訂正:実は2つありました、4/28と4/29。会場名を訂正)。またスティーブの自宅があるナッシュビルでツアーを終えるので(5/10)、2日後に69歳の誕生日をそこで祝うという計画でしょう。でもナッシュビルのライブがバースデーライブになる予感が。。。

あと、オフィシャルのニュースには春のツアーとあるので、夏や秋のツアーもやるという意味でしょうか。期待したいです。

Steve Winwood: US Solo Tour 2017

2017-04-20 Westbury, NY @ Westbury Theatre
2017-04-21 New York, NY @ Beacon Theater
2017-04-22 Upper Darby, PA @ Tower Theatre
2017-04-24 Red Bank, NJ @ Count Basie Theatre
2017-04-25 Baltimore, MD @ Modell PAC @ Lyric
2017-04-27 Boston, MA @ Orpheum Theatre
2017-04-28 Mashantucket, CT @ Foxwoods Casino
2017-04-29 Salamanca, NY @ Seneca Allegany Casino & Hotel
2017-05-01 Washington, DC @ Warner Theatre
2017-05-02 Richmond, VA @ Carpenter Theatre
2017-05-05 St. Augstine, FL @ St. Augustine Ampitheatre
2017-05-06 Orlando, FL @ Hard Rock Live
2017-05-07 West Palm Beach, FL @ Sunfest (追加)
2017-05-09 Greenville, SC @ Peace Center Concert Hall
2017-05-10 Nashville, TN @ Ryman Auditorium