[1] Steve Winwood、ボナルー出演決定!
[ボナルー出演が決まる]Ashevilleでのライブの興奮がまだ覚めやまぬ5月末にWinwoodの ボナルー・ミュージック・フェスティバルへの出演が発表された。 ライブは6/12だそうだ。Willie Nelsonが健康上の理由でキャンセルしたため、急遽Winwoodの出演が決まったらしい。 ボナルーが行われるテネシー州マンチェスターは広大な農地が広がる場所で、そこに東京ドーム60個分の土地を確保してフェスをするのだ。 まあ、だだっ広い土地が広がっているだけで周りにはほぼ何もなさそうだ、というのはすぐに想像できた。 それからここは、Steveの自宅があるNashvilleからわずか1時間のところである。 彼に出演の依頼がきたのも十分理解できる。
[チケットを購入へ]
さっそくbonnaroo.comにてチケットの情報を入手するが3日間の通し券しかないと知ってがっかり。 行けたとしても自分はどうせ1日しかいられないのに手数料こみで$184は高すぎるだろう。。。 おまけにマンチェスターまで車で片道8時間はかかりそうだ。それにボナルーには毎年数万人が訪れるということだ! どうせ行ったとしてもスティーブは米粒程度にしか見えないだろうな。 米粒ステージをみるために高いチケット買って片道8時間かけて行く価値があるのだろうか。。。 しかし、さらに調べてみたところボナルーでは録音と写真は許可されていることが分かった。 もし前の方で見れたらいい写真がとれる可能性もある。その後、Steveが2時間出演することを知り、結局チケットを買うことにした。 SteveのつぎにでるThe Deadは3時間半もやるので、ここにSteveが飛び入りする可能性も十分に考えられる。 まあ、ウィンウッド以外のステージだって見れるんだから、それを考えれば悪くはないかもしれない、と思った。 チケット購入後、ホテル探しを始めた。が、あるわけないのだ!!ボナルーに行く人の大多数が現地でテント住まいをするのである。 なにせそういう田舎町ではまわりにホテルなどはほとんどないし、あってもとっくの昔に押さえられている。 周辺にも大きな町がなく、ホテルそのものが非常に少ない。そもそも観光客がくるような場所ではない、という感じだ。 結局、マンチェスターから40マイル(64km)離れているところにホテルを見つけた。 かなり離れているが、まあ40分もあれば現地に着くから最悪でもないだろう。
[2] いざボナルーへ
[6月11日(金)、快晴] いよいよボナルーへの出発の日だ。朝6時に起床して7:30に家を出た。 I-40のフリーウェイをひたすら西に向かって走る。 昨晩焼くことが出来た去年のベーコンライブのCDを聴きながら、気持ちよくまた気分を高めながら運転できた。 3時間後にAshevilleの町を通過、ここは先月5日にSteveのライブを見た場所だ。 そのまた3時間後にKnoxvilleの町を通過、ここはその翌日に行われる予定だったライブがキャンセルになったところだ(ネトの娘さんの事故死のため)。 運転しながら、先月おこったことを順をおって思い出していった。 今回、ギターのJose Neto(ジョゼ・ネト)が復帰しているのかどうかもとても気になるところだ。 Steveのライブを見れてもジョゼがいなければ、喜びも半減だ。はたして今回のライブは楽しむことはできるのだろうか。。。 Knoxvilleから I-75を南に下ってChattanoogaへむかう。そこから I-24を西へ向かい、宿のあるKimballへ到着した。 珍しく途中で渋滞があったので自宅から8時間半かかった。1時間の時差があるため現地時刻の3時にホテルに着いた。 [Manchesterへ行くが。。。] |
[ボナルーへの車でフリーウェイが5kmの渋滞。時速100kmの車内から撮影!]
今回はあくまでもウィンウッドがメインなので、今日は無理をすることはせず、ボナルー会場に行くのを断念。 結局1日目は会場を目前にして、無念の撤退!!ホテルがあるKimballまで40マイルの道のりを引き返し、明日に備えることにした。 ホテルに戻ってからすぐに食事にでかける。幸い宿の目の前にチャイニーズのブッフェがあるので、そこにする。 今日は時間が貴重だ。明日がすべてなのだから、今夜は早く寝て明日は午前3時に起きてやろう。 そして4時前にホテルを出れば4:30頃にManchesterへつくから、 仮にそこから渋滞で数時間かかったとしても明日の午前中には会場に入れるだろう。。。 あまりおいしくなかったがその割には値段の高いチャイニーズの食事を終えて宿に戻った。 シャワーをあびて一息つく。明日の予定を確認して8時に床に入った。 すぐに眠れたが、それでも夜中に2-3回目が覚めてしまった。
[3] めざせボナルー最前列!
[6月12日(土)、午前、晴れ]
朝3時、といってもやはりすっと目が覚めてしまった。シャワーを急いで浴びて、朝食を簡単にすませた。 3:45にホテルを出発して4:30にManchesterに着いた。あたりはまだ暗い。 ここでまずびっくりした。あるはずのものがない。。。 ボナルー名物の渋滞がないではないか!! こんなことがあっていいのだろうか。まあ冷静に考えれば朝の4時すぎに来ようとする人などほとんどいるわけないのである。 まあ、ぼくの場合は今日がすべてなので万全を期そうと思ったのである。そこでふと気がついたのだが、そのとき自分は Trafficの On The RoadのTシャツを着ていたのである。これにはフリーウエイの絵がかかれているのだが、なぜか車が一つも出てこない。。。 ていうことはこのTシャツを着ていると渋滞にあわない、というご利益があるのではないか! う~ん、さすがはトラフィック。これからも運転するときにはこのTシャツ重宝するな。 これはもともとアークのT-シャツ を注文したのにのなぜか間違えてこれが送られてきたのだが、何たる偶然だろう。今日は運がついているのだろうか。 そういう思いでフリーウエイを降りたのだが、ここでひとつ問題があった。一般道にでてからどっちに行ったらいいのかわからない。。。 たしか標識に従えば会場に来れる、とのことだったのだがそれもナシ! 数万人も訪れる場所で (注:今年は9万人が訪れた) 会場への標識がないとはボナルースタッフはなにを考えているのだろう。。。 でも、いつもなら渋滞が必ずおこる場所なのだから、もし昼間に来ればどう行けばいいのかは自明である。そう思うと妙に納得してしまった。 近くのガソリンスタンドで道を教えてもらったが、道順は単純そのものですぐにボナルーのキャンプ場に行くことが出来た。 車の渋滞がなかったのはよかったが、午前4時ごろに終わったライブから帰ってくる人で、道はごった返していた。 まさか道路が人で「渋滞」しているとは思わなかった。なかには酔っぱらっている人もいるかもしれないので、慎重に運転する。 まさに24時間活動が行われているボナルーを目の当たりにすることになった。チケットの1日券なるものが存在しないのも分かる気がした。
[パーキングを探す]
次にパーキングを探さなければならない。自分はDay Parkingという日帰り客専用の駐車場を使う必要がある。 キャンプ客用のパーキングだと、その日の夜までに車やテントなどで帰り道が塞がれる可能性もあるのだ! ようやくDay Parkingをみつけたが、そこは閉鎖されていると言われたので、そこから離れたところにある別のパーキングを探しにいった。 結局それは見つけられず、別の場所にいたスタッフに助けを求めた。 彼は無線でDay Parkingの人と交渉してくれて、結局「閉鎖」と言われたそのパーキングにもどって駐車することができた。 今思うと、「閉鎖」とウソを言ったスタッフは朝早すぎたためか、開けるのがめんどくさかったのだろう。
夜明け直前のボナルーのキャンプ場
まあ、スタッフの中にはこのように協力的ではない人もいるので、 自分に協力してくれそうな人を見つけてその人に助けてもらうのが手っ取り早い。結局キャンプ場に入ってから駐車するまで40分かかった。 荷物を車から取り出して、さっそくコンサート会場に向かった。ボナルーの会場は広すぎるので、移動するだけでも一苦労だ。 やっとCenterooという、コンサート会場に隣接している総合広場の入り口にたどり着いたが、驚いたことに自分だけ入場を拒否された。
チケットをもってるじゃないかと言うと、いやそうじゃない、そもそもなぜ君はここにいるのだね、 とわけの分からんことを言う。彼が言うには、ぼくはまず手首につけるリストバンドを チケットと引き換えにもらわなければならない。それに、ここにくるまでにチェックポイントがいくつかあって、 そのバンドをしていない人はここまでたどり着くことは出来ないはずなのだ、とのこと。 まあ、ボナルーのスタッフもこんな早朝にコンサート会場付近に行く人がいるとは思ってなく、実際には警備をしていなかったのだろう。 じゃあどこでそのバンドをもらえるのか、と聞くとそれがまた今きた道をずっと戻っていくのだと。。。 東京ドーム60個分の広い場所でそんなことはしたくなかったけど、それがないと話しにならないので今きた道を戻り始めた。 それで結局たどり着いた場所が、なんとパーキングに関して僕を助けてくれたスタッフがいた場所だったのだ! 彼のおかげでDay Parkingに入れるようになったのだが(それにはとても感謝している)もう少し気を利かせて 「まずここでリストバンドをもらっていきなさい」とあのとき僕に言ってほしかった!!まあ、どのボナルースタッフも完璧ではない、ということか。 そうしてチケットの引換所でリストバンドをもらった。プラスチックでできた腕輪だ。 それからボナルーの地図とプログラムガイド、それにボナルーのCD2枚。。。 このCDは、ボナルーの出演者の曲が一曲ずつ入っているのだが、こういうものはたとえばチケットを郵送するときにでも一緒に送るべきではないのか? だって、この会場でCDを聴けといわれてもできるわけないし、それにライブが1日中やっているときにCDを聴きたいなどと思う人もいないだろう。
[Centerooに入る]
ともかく、やっとのことでリストバンドを受け取り、再びCenterooに向かって歩き出す。 しばらくしてめでたくCenterooに入ることができた。朝の6時半だ。最初にボナルーのキャンプ場に入ってからすでに2時間が経過していた。 それにしてもなぜ今回のボナルーではひとつ用事をしようとするだびに門前払いを受け、再度トライしなくてはならないのか。。。
早朝のWhat Stage(上) と Which Stage(下)
Centerooに入ってからまっさきにメインの会場であるWHAT STAGEの入り口に行った。やはりそこにはまだ誰も来ていない。 やった、一番乗りだと思ったのもつかの間、まだ開場していないとのこと(また門前払いか)。 そこにいたスタッフに「最初のショーが12:30からなんだからまだ開いているわけないでしょ。」と言われた。 まあ、そりゃそうだ。でも自分のお目当てのショーは17:30からなんだ、と言ってやろうかと思ったが、 そう言うと相手は気絶するかもしれないのでやめにした。もしすでに開場していたらちょっと下見をしたかっただけなのだが。 結局何もすることがないので、開場予定時刻の11時まで待つことにした。 午前中はさすがのボナルーでもライブは行われず、各会場でスタッフがちらかったゴミを片付けてその日のライブに備えていた。 中には24時間行われている(音楽以外の)イベントもあったが、そこには行かなかった。 時間があったので、食べ物を買って今日2度目の朝食をとり、その後は芝生の上に横になった。
Centerooのカフェテリア周辺
まあ思えば、今日は早く来すぎたわけで、もっと遅く来てもよかっただろう。 でも、もし遅く来て渋滞にはまってしまうとさらに遅れるうえに、Day Parkingがどこにあるのかを見つけるのがさらに困難であっただろう。 (Day Parkingがいっぱいになってしまうと最も都合が悪い。)というわけで、朝早く来て正解でした。
[再度What Stageの入り口へ]
10時半ごろWhat Stageの入り口に戻った。ステージが遠くに見えている。 今日は晴れだが少し雲がかかっていて昨日より過ごしやすい、とのこと。まだ2-3人しか入り口の所に集まっていないのにはびっくりした。 メインの会場にも関わらず、いい場所で見ることに関心があるひとは予想以上に少ない。いや、みんな昨晩は遅くまでライブを見て疲れているのだろう。 11時になってもたった10人ぐらいしか集まっていない。 開場は予定よりも遅れ、それが11:30、12:00となっていった(まあこの国らしいか)。 並んでいる人のなかには、録音が目当ての人たちが目についた。それにしても彼らは立派な録音機材を持っている。 自分のMDなどおもちゃのようにしか見えない。
入り口から見たボナルーWHAT STAGE。
開場後、ここからステージの前までダッシュ!!
並ぶ場所は各列ごとに柵でしきられている。全部で10列ぐらいあっただろうか。 各列のまえにはボナルーのスタッフが配置されていた。彼らが入場者の荷物を検査して、持ち込み禁止のものがあるかチェックするのだ。 当然自分は列の一番前にならんでいるので、このままいくとなんか簡単にボナルー最前列とれそうだ! 開場後、ここから走ってあのステージの前まで行くのか。まあこのレースの本命は第3コース出場のオレということにしておこう(笑)。 12:15にやっと開場することになった。でも最初のショーの15分前とはね。。。 だがいよいよ開場というときに思いもかけぬことがおこった。 僕の列を担当するはずのスタッフがどこかに行ってしまって、目の前にだれもいないではないか! ていうことは、彼がここに戻ってくるまで待っていなければならないのだろうか?それともこのまま入場してしまっていいのだろうか? どうしたらいいか分からなかったが、ふと横を見るとみな荷物のチェックをうけてはいるものの、 ほぼ素通りの用な感じで次々に入場しているではないか!これをみたオレはもう耐えられず、ダッシュで中に入ってしまった。 そのままステージに向かってまっしぐら。少し走ってから後ろを見てもだれもオレをとがめたりしていない。 ヤッター、さすがアメリカ。チェックを厳しくするようでいてどこか完璧ではない。 でもチェックなしで入場してしまうとは思わなかったけど、別になにか持ち込み禁止のものを持っていたわけではないからね。 しめしめこれでボナルー最前列はいただきだと思いながら走っていると、ここでとんでもないものが目に入ってきた。
[最前列をめざすも。。。]
なんとステージに向かって右の方にも入り口があり、そこからも人が入場してくるではないか! しかもそっちのほうがステージに近い!! いやー、こんなことがあっていいのだろうか? (今思うと、たぶんあれはVIPチケットを持っている人たち専用の入り口だったのかもしれない。) 結局彼らに最前列を占領されたので、前から2列目、ステージに向かってやや左の場所をゲットしました。 でも充分すぎるほどステージに近いからいいでしょう。 遠くからステージを見るだろうと予想していたことを思えば2列目でも大満足だ!
2列目からステージ上部を見上げる
[ロス・ロボスのステージ(12:30ー14:00)]
開場が予定よりもだいぶ遅れたにも関わらず、ロス・ロボスのライブは予定通り12:30に始まった。 ボナルーに来る前、彼らの曲を聴いて「予習」をしてきたが、聴き覚えのある曲はほとんどなかったと思う。 でもこのバンドのボーカル、すごく声がいいのが印象に残った。おまけにバックボーカルの人の声もすばらしい。うらやましいほどだ!
彼らのショーは2:00ちょうどに終わり1時間の休憩にはいる。あまり食欲はなかったが、持ってきてあった食料を食べた。 体力を温存するためにむりやり座って目をつぶった。3時に次のショーが始まった。
[ガヴァメント・ミュール (Govt Mule)のステージ(15:00-16:30)]
このバンドは今まで知らなかったが、今日見た中で一番人気があった。 これはサザンロックのバンドらしい。g、b、dr、orgの4人で分厚くて太いサウンドを作り出していた。 ハモンドはあまり聴こえてこなかった。あと、ドラムがとてもうまいと思った。 一番目立ってるのがやはりウォーレン・ヘインズ(g,vo)だ。 彼のギターはとてもかっこよかったし、ボーカルは少しハスキーで曲の雰囲気とよく合っていると思った。 どの曲もとても迫力があり、観客の盛り上がりもすごかった。
ウォーレン・ヘインズ
ライブの前半にギターのウォーレンがピックを投げた。それを僕の目の前にいる人がゲット。 ラッキーな人もいるもんだな、と思った。しかしライブ後半に入って彼が再びピックを投げ入れ、なんとそれが自分の目の前に落ちた!! 素早く拾い上げるオレ。やったあ!!まさか自分がピックをゲットしようとは夢にも思いませんでした。 いままで全然知らなかったバンドなのに、ファンでもないオレがいきなりピックをゲットして自分でも本当にびっくりした。 まるで、これからはGovt Muleを聴きなさい!とでも言われてるような気がした。
[ついに最前列をゲット!! が、しかし。]
Govt Muleのライブ終了後、多くの人が会場を去っていった。 え、なんで? みんな次のウィンウッドを見ないの? と思ったそのとき、僕の前の場所が空いた! そしてすばやくそこに滑り込む。やったあ、最前列だ!! でもこんなに簡単にとれてしまっていいのだろうか? なにやら不思議な感じだ。それもそのはず、チケットを買った時からボナルーではステージを遠くからみることになるだろう、と想像していたからだ。 自分がボナルーの最前列にいるなんてもう本当にびっくりだ。こんなことがあっていいのだろうか? なんか今日はいいことがありすぎるぞ!いい意味でも悪い意味でもハプニング続きで予想が外れまくりのボナルー2004。 最前列をゲットしてとてもうれしかったが、実はここから想像を絶するほど苦労することになるとは思いもよらなかった。。。。。
[4] 雨にも負けず、空腹にも負けず、トイレにも行けず
Govt Muleの終了後再び1時間の休憩にはいる。そのまま残った観客は半分ぐらいだったろうか。 まあ、ウィンウッドのライブが始まる17:30にはもっと増えていることだろう。 自分はオフィシャルサイトから買ったウィンウッドの About TimeのTシャツ を着て開始を待つ。ステージではスタッフが楽器の搬入とセッティングを開始した。 ハモンドオルガンがステージに現れた。幸運なことにそれは自分の目の前に置かれた! ステージが予想以上に高く、ここ最前列からはステージ上にいる人の上半身しか見えない。 それでもいい写真がたくさん撮れそうだ! 少ししてからAshevilleでのライブの時にもいたコンサートスタッフがジョゼ・ネトのギターを持ってでてきた。
[ライブ直前に天候急変!!]
準備が整ってあと15分でライブ開始となったとき、なにやら空が黒ずんできた。そしてあっという間に雨が降ってきた。 しかも結構激しい雨だ。スタッフがあわててステージの機材を片付ける。楽器には大きなビニールシートがかぶせられた。 僕も雨合羽を着て雨を凌ぐ。残念ながらライブ開始は遅れることになった。 雨が降ってきたのは残念だが、たった1ドルで買った雨合羽が大活躍だ。 しかし、周りには雨具を持っていない人が意外に多く、会場を去る人も出始めた。 僕の隣にもウィンウッドのファンが2人いたのだが、彼らも雨に耐えきれずしばらくして帰ってしまった。 アメリカ人はあきらめるのが早いなあ、と思ったがこの雨で雨具なしだとさすがにきつかったようだ。 その後も雨は降り続けたが、しばらくして幾分小降りになってきた。 そこで、ボナルーのスタッフがステージの屋根にたまった雨水をとりのぞくために上部にのぼっていった。 屋根から取り除かれた雨水が、大量のシャワーとなって観客の上に落ちてきて、そのたびに大きな歓声があがった。
[さらに問題が続出!!]
このころ、雨だけでなく他の問題もでてきた。まず第一に今日の昼から一度もトイレにいっていない。 だんだん耐えるのもきつくなってきた。後ろの人にはポンチョ着てそこにしゃがんでしちゃえばいい、と言われた。 彼はまんざら冗談でもないという感じだったが、さすがにそんなことはできない。 そんなことをして、それが今度出るDVDに写ってたら恥ずかしいことこの上ない!! 仕方なくそのまま我慢することにした。たのむから早く始まってくれ。 もしこのまま長引くようだと、トイレのためにこの場所を離れなくてはいけないだろう。。。 でもそれだったらまだいいほうで、もしライブが明日に延期などということになったら、 おそらくオレはウィンウッドのライブを見ることができなかっただろう(翌日の朝には自宅に向けて出発しなくてはならないからだ)。 せっかく苦労して最前列をとりながら、お目当てのウィンウッドのライブを見れずにボナルーを離れることだけはさけたい。。。 高いチケット買って長時間ドライブで来たのだからなおさらだ。 ライブはもうすぐ始まるのか、そしてトイレに行かずに我慢できるのか、それとも翌日に延期になってしまうのか。。。 問題はさらにあった。空腹になってきたのに食べるものもろくにない。そしてのどが乾いてきたが、 トイレがさらに近くなってしまうのを防ぐため、水分は必要最小限にとどめた。 まあ、空腹は気力で我慢できるが、水分不足が続くと脱水症状になってしまうので非常に危険だ。 ボナルーでは充分水分を補給をするようにさかんにアナウンスしている。 幸いなことに僕がいるあたりはステージの日陰になっていてわりとましだったが、それでもかなり蒸し暑い。 いったいこれからどうなるのか分からず頭の中がだいぶパニック状態になってきたが、 どうあがいても自分に出来るのはただじっと待つことだけだ! 体力温存、そして心を落ち着けるためにもむりやり座って目をつぶることにした。 周りの人が僕の気分が悪くなったと勘違いして、おい大丈夫か、と声をかけてきた。
[再びライブの準備が始まる]
雨が降り始めて1時間たったころ、責任者らしい人がステージに出てきて、「まだ雲行きは怪しいけれども、 もう一回トライしてみましょう!」とアナウンスすると、大きな歓声があがった。 そしてスタッフが再び楽器のセットアップにとりかかった。 このとき、ジョゼのギターを持っていたスタッフがフジロックのジャケットを着ているのを発見!! まるでフジロックに行けなかったオレに見せびらかしているかのようなその後ろ姿。
スタッフがフジロックのジャケットを着ていた
[5] 感動のSteve Winwood、雨のステージ
1. Can't Find My Way Home
ステージではライブの準備がとっくにできているようだが、依然としてライブは始まらない。 雨は小降りがつづいている。責任者のアナウンスがあってから一時間半近くたって、 ようやくパーカッションのCafe(カフェ)、ドラムのWalfredo Reyes Jr.(ウォーリー)、 それにサックス等担当のRandall Bramblett(ランドール)の3人のみがステージに現れた。 そしてランドールがオルガンの前にすわった、ということは一曲目は当然Can't Find My Way Home。 スティーブなしに演奏が始まるのが分かっていたのであわててMDの録音を開始した。 そのすぐ後に3人で演奏を開始。結局今回のライブは2時間以上遅れて19:40にスタートした。 「すごいオジサン」ランドールはAshevilleのときと同じようになにやらアヤシイ音を出す。 ついに始まった!!!もうその時点でオレは参ってしまい、なにやら絶叫してしまった。 不思議なものだ。ステージにはまだスティーブはもちろんジョゼもいないのに、ランドールのオルガンで感極まってしまうとは。。。 う~ん、さすがはすごいオジサンだ!始まるかどうかずっと心配した今回のライブ。まさに始まったことに感動してしまった。
(上)演奏開始!左端にはギターを持ったフジロックおやじがいる。
(下)スティーブが現れ、ギターを受け取りステージ中央へ。
Can't Find My Way Home
2. Different Light
1曲目が終わり、ネトがステージに現れた。すかさず「ジョゼー!!」と力いっぱい叫ぶ。 アイコンタクトはできなかったが彼の復帰を精一杯祝ったつもりだ。 彼はAshevilleのときと同じくブルドッグのTシャツを着ている。 お気に入りのシャツだとは思うが、あの悲劇が起きた日に着ていたのと同じシャツを選んだことになにか意味は隠されているのだろうか?
Different Light
3. Cigano
この曲でもネトのギターが印象的だ。後半のギターソロも良かった。サビの部分でステージの背後になにやら模様が映しだされた。 でもなぜこの曲の時だけこれをしたのだろう。
4. Empty Pages
ランドールはここではソプラノサックスを吹く。これはトラフィックの曲だが、クリス・ウッドもこの曲でサックスを吹いたっけ? スティーブのオルガンは控えめで、むしろベースの方が目立っている。 自分の後ろの人が、ベースはいったい誰が弾いているのかと尋ねてきた。 ウィンウッドが足でベースペダルを弾いていると答えたらさすがにびっくりしていた。
メロディーのきれいなインストの曲だ。ジャムっぽい雰囲気もする。ランドールのソプラノサックスがボナルーの会場に響き渡る。 この曲後半でのパーカッションとドラムのバトルが見ごたえあった。 カフェとウォーリーはお互い見つめ合ったままで、まるで音の対話をしているかのようだ。 この曲にはオルガンソロはあるけれど、曲全体としてはスティーブはそれほど目立っていない。 そのうえ、これはネトの曲なのに彼も目立っているとはいえない。 今回のライブでは、カフェとウォーリーが特に目立っている曲はこれぐらいしかないので、 こんなところにもこの曲を演奏した理由があるのだろうか。
この曲のあたりだったか、雨が少し強くなり始めた。まさか途中で中断なんてことにならないだろうな、と不安になる。 それに加えて稲妻も光りだした。客席からも歓声があがるが、スティーブはいつもどうり平然としている。それを見て少し安心した。
6. Bully
Different Light、Ciganoとともに最新作About Timeからの曲だ。 ネトのギターがとてもユニークで面白い。どうやってあんな音をだすのだろうか。この曲も彼なしには考えられない。 このころだったろうか、目の前にいた会場のスタッフ二人が自分の方を見てずっとにやにやしているのに気がついた。 最前列でSteve Winwoodの文字が入ったTシャツを着てうれしそうにしてる人を見つけたからだろうか。 別に気にならなかったが、数分間にもわたってそうし続けていたので、ひょっとしてオレの顔に何かついてるのかな? などと思い始めてしまった。もしそんなのがDVDに写ってたらさすがにやだな。。。
7. Back in the High Life
Bullyの終了後、スティーブはフジロックおやじからマンドリンを受け取り、ステージ中央へ向かう。 もちろんBack in the high lifeだ。かわってランダールがオルガンを弾く。 雨が降っているところにスティーブのマンドリンが浮かび上がる。何やら不思議な光景だ。雨は楽器にもかかっているのだろうか。 例によってサビの部分では皆で大合唱になる。
Back in the High Life
8. Dear Mr. Fantasy
かわってスティーブはモスグリーンのストラトを受け取り、トリオでDear Mr. Fantasyを弾く。 ここではさすがのネトも出番がない。カフェとともにいったんステージから去る。 やはりこの曲でのスティーブのギターは素晴らしい。Ashevillでのライブに続いてこの曲を聴けてうれしかった。 最後の盛り上がりのところでカメラのクルーに前を遮ぎられてしまった。 この曲の終了後にスティーブがトラフィックの再結成を宣言した。 まさか彼の口から直接このようなことが聞けるとは思わなかった。 それ以上のことは言わなかったが、今年の秋にも活動が再開されるのではないか。
Dear Mr. Fantasy
9. Low Spark of High Heeled Boys
カフェとネトが再びステージに戻り、次はLow Sparkだ。出だしではネトのギターが(原曲での)ピアノのパートを弾く。 オルガン、サックスとソロがまわり、最後にネトのギターソロが始まった。 依然として雨は強かったが、ネトはここで稲妻のようなソロを披露する。 このライブ一番のクライマックスだ。ユニークな弾き方で音も非常に面白く、会場はとても盛り上がった。
Low Spark of High Heeled Boys (ギターソロ)
Low Spark of High Heeled Boys (フィナーレ)
10. Gimme Some Lovin'
Gimme some lovinが始まった。ライブ最後の曲だ。雨も強く稲妻も頻繁に起きていたが、中断することなく最後までやることが できたのは非常にラッキーだった。今回のライブではスティーブの声がとてもよくでていたし、オルガンもよく響いていた。 スティーブが'so glad we made it'と歌っているのを聞いてまさにその通りだと思った。 スティーブ、バンドのメンバー、ボナルーのスタッフ、それに聴衆のすべてが この状況のなかでベストを尽くし、最後までやり遂げたのである!So glad we made it! 曲の最後、スティーブが聴衆に"Thank you very much. We had a great time." と言ったのを聞いてなんだか心にジーンときてしまった。
Gimme Some Lovin'
Good Bye! そして感動をありがとう!!
[6] さよならボナルー
[ライブを終えて]
開始が2時間遅れ、スティーブは雨と稲妻の中で演奏し、無事に最後まで終えることができた。 最前列で見て、ジョゼの復帰も見届けてアイコンタクトもできた。 2時間の予定が1時間半になり、全部で10曲と少なめだったが、それはどうでもいいことだ。 このような状況でスティーブがいつもにもまして素晴らしい演奏をしたのだ。 こんなことはめったに経験できるわけではない。
ライブの間、雨合羽は着なかったのでずぶぬれになった。それに空腹だし、トイレにも行きたくてしょうがなかった。。。 スティーブのすごいライブを見てもう十分満足したこともあり、次のThe Deadを見ずに帰ることにした。 荷物をまとめてるのを見て周りの人が「おい、何で帰るんだ」と言い始めた。 雨の中、道に迷ったがライブの会場から駐車場にやっと戻ることができた。 ボナルーの会場を午後10時過ぎに出発し、ホテルには11時に戻った。
さよなら、ボナルー!!
[ホテルに戻り]
今日はまさに激動の1日だった。信じられないことが実にたくさん起きた日だった。 夕食を食べてなかったので、買ってあった軽食を食べそして水を大量に飲んだ。 シャワーを浴びてからMDの録音をチェックして一息つく。思ったより良好だったので一安心。 結局就寝は午前2時。前日の午前3時に起床したので、この日は23時間起きていたことになる。。。
[6/13(日) 帰宅の日]
翌朝は朝7時にあっさり起床。やはり興奮が覚めないのだろうか。 テレビのニュースを見てみたが、ボナルーの映像はごくわずかしかでていない。 朝食を食べて大量の水分をとり、ホテルを9時にチェックアウトした。 帰りの車の中でも喉が渇く。やはり脱水状態になっていたのだ。。。1時間以上渋滞で足止めを食ったので、自宅には午後7時に着いた。
[総括]
結局ウィンウッドを含めて3ステージしか見なかったのでボナルーをすべて体験したという わけではありませんが、それでも想像以上に楽しむことができました。 今回はハプニングだらけでしたので、今までで最も印象に残るウィンウッドライブであることに ちがいありません。今後もウィンウッドがボナルーに出る可能性はありますが、もし次回見に行く時は雨は勘弁してほしいです(笑)。
というわけで、これからもウィンウッド見に行くぞ!!次はどこだ?
え、今月ヨーロッパツアー?
う~ん、遠いな(汗)。
じゃあパスってことで(爆笑)。
今後はTrafficのツアーに期待!!
(2004年7月記す)