2006年はミニツアー
今年のツアーは10月5日から13日までアメリカ東海岸を中心に行われる。わずか9日間で7公演のミニツアーである。 About Timeのツアーも今年で4年目になる。ウィンウッドのライブを観るのは1年3ヶ月ぶりだ。バンドには新メンバーのポール・ブース(sax/fl)とリチャード・ベイリー(dr)が加わった。 ギターのジョゼ・ネトとパーカッションの カール・ヴァンダン・ボッシュは去年に引き続いての参加だ。 サックスのポール以外はウィンウッドの最新作About Timeの録音に参加しているので(注:アルバムではカールはコンガ、リチャードはティンバレスを演奏)、このラインアップは期待ができそうだ!
去年の秋は、、、
話は1年前にさかのぼるが、去年の夏に素晴らしいライブを4つ見終えたとき、ひょっとして運を使いすぎたかなと思ったものだ。 やはりというべきか、去年の秋のツアーの時は1つも観ることができなかった。日程を一目見て、行くのはすべてあきらめるしかなかった。 念のため、チケットは1公演だけ入手しておいたのだが、やはり行くことはできなかった。 でもそのライブは大変盛り上がった素晴らしいコンサートだったと人から聞いたときは、とても複雑な思いがした。 それほど盛り上がったライブの最前列に空席を残してしまったなんて、ファンとして申し訳ない。。。 その残念な思いを胸に秘め、今回のライブに望む。
飛行機とレンタカーを使って
ライブが行われるニュージャージー州のレッド・バンクはNYからもわりと近い場所にある。 今回のミニツアーではNYでのライブが一つもないのは意外だったが、今日のライブがそれの代わりなのか。 去年はさんざん運転をして疲れたので、今回はなるべく楽に行きたいと思った。 飛行機とレンタカーを使っての現地入りである。お昼過ぎには現地に到着する予定を立てていたので午後はのんびりすごそうと思ったのだが。。。悪天候
当日の朝起きると激しい雨が降っている。気にせず自宅を出発するが近くの道路が冠水していたので思った以上の大雨にちょっとあせる。 空港に行ってみるとなんと飛行機が全然来ていない。 悪天候のため離着陸できないとのことだ!自分のフライトは朝だったが、それが遅れに遅れ、結局キャンセルに。さあ困った! 午後のフライトを利用する手もないわけではなかったが、多分今日は天候の回復の見込みはなさそうなので、またキャンセルになる可能性が高そうだ。。。 残念だけど行くのをあきらめるしかないか、と思い始めた。 それでも航空会社のカウンターに行ってみると、ここから車で一時間のところにある別の空港に行くことを薦められた。 それなら問題なくライブにも間に合いそうだ!航空会社が発行してくれたタクシー券を使って、すぐさまそこへ向かう。 でも高速道路も雨の影響を受けて、そんなに速いスピードでは走れない。 なんとかその空港に着いてチェックインをすることができたが、自分のフライトが何時に出発なのか尋ねると 「あと5分です、でも大丈夫ですよ」となんかよく分からないことを言われた。 でもその言葉の意味を尋ねずに「あと5分」ということで頭がパニックになった。 すぐさまセキュリティーゲートまで走り、そこを抜けてからターミナルの中を走る。 おまけに自分のフライトの出発ゲートは建物の一番奥だ!ようやく息を切らせてゲートにたどり着くと、、、なんと自分の乗る飛行機はまだ来ていない! なんと言うことだ!!「大丈夫ですよ」とはそういう意味だったのだ。。。
なんとか現地入り
でもやはり大丈夫ではない。なにせ飛行機が来ないことには話にならない。 でもその飛行機も1時間遅れで到着し、なんとかフィラデルフィアの空港へ行くことができた。 そこからレンタカーでニュージャージー州のレッド・バンクまで移動する。結局目的地には午後5時半に到着した。 自宅を出てから実に10時間である。これは今まで行ったライブの移動時間の最長記録だ! 今回は飛行機を使って楽に早く目的地へ行こうと思ったのに、皮肉にもまったく逆の結果となった。 ちなみに以前の記録はボナルーへ車で行った時の8時間半である。 兎と亀じゃないけど、飛行機はあてにせずこれからも車で移動しなさいと言う意味なのか! ホテルに着いてからすぐに町の見物を兼ねて会場のカウント・ベイシー・シアターへ行ってみる。 なかなか立派な建物である。
Count Basie Theatre
会場入りを果たす
ライブが始まる
8時にメンバー全員がステージに登場した。ほどなくしてギターのジョゼ・ネトが心地よいリズムを刻み始める。 思った通り1曲目はDifferent Lightだ。 スティーブはもちろんオルガンとフットペダルを演奏する。ボーカルも以前と変わってなく安心した。 自分の席はステージに近すぎることもあって、音がそれほどいいわけではなかったが許容範囲だろう。 サックスのポール・ブースは銀色に輝くテナーサックスを手にしている。曲の後半にとても滑らかなアドリブのソロを披露した。 彼はおそらくまだ20代だと思うが、実力はかなりのものだ!でもその次のEmpty Pages ではあまり息があってないところもあった。ポールはミスをすると他のメンバーの方を向いて苦笑いするくせがあるのか。 2曲終わったところでいつものようにスティーブのMCが入る。 「この歴史上の偉大なジャズミュージシャンの名を冠したシアターで演奏できてとてもうれしいです。 ここでやると何だか自分も歴史的なミュージシャンの一人になったような気分になります。」Walking On ではリズムセクションが素晴らしい。ラストも決まっていた。この曲をちゃんと聞くことができたのは初めてだ。 (去年ボルティモアでこの曲をやったときはボーカルが聴こえなかった。) ポールのフルートソロはジャズっぽいところもあった。ちょっとした演出が
それが終わるとすぐにスティーブが次の曲のイントロを弾き始める。これはCan't Find My Way Home ではないか!でもなんでスティーブがオルガンを弾いているのだ? そしてスタッフが去年までとは違うギターを持ってきた。ギターは誰が弾くんだ? そのときサックスのポールがスティーブのところにきて、オルガン演奏をスムーズに引き継いだ。なんという連携プレー! そしてスティーブはステージ中央でギターの演奏開始。Can't Find My Way home
左手の形から判断するとキーはDだ。 ブラインド・フェイスのオリジナルキーなので、音はかなり高く感じる。ボーカルの高い音は出ているが少しきつそうだ。 去年までのようにBbのキーの方がいいようにも思った。トラフィックの曲に感動!
次にスティーブはおなじみ水色のストラトを受け取る。え、もうファンタジーをやるのか?と思ったのだが実はMedicated Goo だった。 そうだった!去年の秋のツアーでよく演奏したそうだし、去年テレビ出演したときもやっていた。 そのときの演奏と似たバージョンだ。ジョゼはギターで主にベースのパートを弾いている。スティーブのカッティングもかっこいい。その次はWhy can't we live together? スティーブがオルガンに戻りサックスのポールが抜けて4人での演奏。意外なことだがこの曲をライブで聴くのは実に2年前のアッシュビル以来だ! スティーブの熱唱が印象的。そしてオルガンも心地よく響いている。この曲でジョゼが今日初めてのソロをとる。
Medicated Goo
Light Up or Leave Me Alone
その次のLight Up or leave me alone も去年の秋によく演奏された曲。Medicated Goo とともにこの曲を聴けて本当によかった。 スティーブとポールがいっしょに叫ぶ "Light Up"のかけ声が実に気持ちいい。スティーブのオルガンベースも安定していていい味を出している。 曲の中盤からソロがサックス、ギター、パーカッション、ドラムと渡る。
ライブ後半が始まる
15分の休憩のあと、後半最初はRainmaker。 去年のバージョンとほとんど同じだが、曲の出だしはアフリカン・チャントはなく、代わりにポールがフルートで独創的なアドリブソロを吹く。 曲の後半はソロがギター、サックス、ドラムと続いた。その次はHigher Love。 もうここから後はスティーブのベストヒット集だ。曲の途中で女性2人が最前列の前のスペースに出てきて踊り始める。 スティーブの気を惹こうとオルガンの横まで行くが警備員にすぐ制止されて引き下がる。 でも困ったことにまたすぐ戻ってきてしまう。おそらく酔っぱらっていたのだろう。 次はマンドリンを手にしてBack In the High Life だ。これも去年とほぼ同じバージョン。Back In the High Life
その後、前半でも使った水色のストラトを受け取ってギター、オルガン、ドラムだけのトリオになる。次はもちろんあの曲。 スティーブが弾く準備をしていると、客席から "Low Spark!"、"John Barleycorn!"、"Pearly Queen!"などと声がとぶ。 一向に「正解」が出ないので、自分が一声 "Fantasy!!"と叫ぶ。直後にDear Mr. Fantasy の演奏開始。グッドタイミングであった。ドラムのリチャード・ベイリーは去年までのドラマーとはちょっと雰囲気が違う。 ほとんど表情を変えずにドラムを叩くがとても迫力のある音だ。この曲にはこの人のドラムが一番あっているように思った。Dear Mr. Fantasy
後半最後はLow Spark of High Heeled Boys。 曲の出だしで渋い味わいのサックスソロが出る。原曲でのクリス・ウッドの演奏を意識していたのだろうか。 テーマのあと去年と同じくソロがオルガン、サックス、ギターとまわる。 ジョゼのソロの出だしは実に静かであるが、長い時間をかけてだんだん盛り上げて行く。 ソロの途中、左手のポジション移動をするたびに「ギッ、ギッ」と音がするときがあった。Low Spark of High Heeled Boys
ギターらしからぬ音なので不思議に思っていると、それはパーカッションのカールのいたずらであった。 ジョゼが左手を動かすのに合わせて、小道具を使ってそういう音を出していたのだ。 曲のクライマックスでの彼のギターは去年、一昨年ほど激しくはない。でも十分すぎるほど盛り上げていた。
アンコールはパーティー状態
Crossroads
おかげで自分のいるあたりはパーティーさながらになってしまった。 ステージ中央にいるポールのまわりにはにわか女性ファンが集まり、なんとか握手をねだろうとしている。 この盛り上がりようはまるで小ホールでやったときのようだった。最後はもちろんGimme Some Lovin' でしめくくる。ちょっとテンポが遅いような気もしたが悪くはないだろう。
コンサートが終了して
ライブが終わるといつものようにメンバー全員が集まってのあいさつだ。 新メンバーのサックスとドラムはおそらく去年のプレーヤーより実力は上だろう。 というわけで今回のバンドのラインアップは強力だと思う。特にサックスのポール・ブースは気に入ってしまった。 今回も前の方の席だったので、音自体はそんなによくなかったが、やはり前だと演奏者の細かな表情やしぐさがよくわかって興味深い。ライブ終了後のあいさつ
ライブ終了後、ステージに置いてあったものをいただいた。ライブ中からひそかに目をつけておいたのだ。 入手してみて分かったが、ごく普通のものであった。でも実際にスティーブが使用したものだから貴重だろう。 まあこれ以上書かなくても何をゲットしたか分かる人には分かるかな(笑)。 その後会場を出て裏口にある「バス乗り場」へと行く。もちろんファンはバスに乗らないが、皆のお目当ては当然スティーブだ。 集まったファンは20人ぐらい。ほとんどの人がソロやトラフィックのLPのジャケットを持ってきている。 自分はトラフィックのDVDを持って行ったが、口々に「それは何だ?」と聞かれた。 これだけ多くのウィンウッド・ファンがいるのに、ほとんど誰もそれを知らないのには正直驚いた。 でも中には70年代にトラフィックのライブを3回見た、という人もいたのでさすがだな。 スティーブが会場から出てくるのが遅かったので、かわりにバンドのメンバーともいろいろ話をすることができた。 ドラムのリチャード・ベイリーはこの前日本に行ったばかりだそうだ。話し始めるといきなり「君は日本人かい?」と聞かれた。持っていた紙のチケットにサインをしてもらった。 サックスのポールは若いだけあって、女性ファンを獲得しそうな感じ。ギターのジョゼとも初めて話すことが出来てうれしかった。 AboutTimeのジャケも持っていたので、ジョゼの写真のところにサインをしてもらった。 最後になってやっとスティーブが現れた。待ちくたびれたファンが次々と集まる。いろんな質問を次から次へと浴びせられてちゃんと答えるヒマがない感じだ。 なんとか自分も「日本にも多くのファンがいますが、今度日本でライブをしてくれますか?」と言ってみたものの 「今後のことはまだ決まってないけど、、、そう言えば3年前に行ったよね?」と言ったところで他の話題に変わってしまった。 去年に引き続いて明確な答えをもらえなかったのが残念。やはり自分は芸能リポーターには向いてないだろう。 でもひょっとしてこういう質問には答えようがないのかも。席は2列目、中央やや左(オルガンの前)
さて次は?
今日は新曲のお披露目もなく、曲目も以前とほぼ同じだったが、十分楽しむことができた。 でも長時間の移動の疲れがあり、自分の体調は万全ではなかったが、座って聴けたのが幸いであった。 自分にとって今日のライブは去年の秋に行かれなかったコンサートの代わりという意味もあった。 トラフィックのDVDにサインをしてもらったし、これで去年のリベンジにも見事成功! でも浮かれているヒマはない。次のライブまであと3日だ。今度こそハプニングに遭わないように策を練らねば。。。


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