次はシカゴへ
4月からスタートした全米ツアーも7/3に終了する。 今年は32カ所で計34回ライブが行われるが、国が広すぎるため大都市にでも住んでいない限り、 ライブを観に行くには長時間の移動をしなくてはならない。6月に自宅から車で行けるライブを2つ観に行ったわけだが、アトランティックシティーまで片道8時間のドライブになった。 これ以上車で行くのは無理なので、次は飛行機を使うしかない。 アメリカ独立記念日の祝日が7/4にあるため、7月最初の週は休暇を取る人が非常に多い。 そういうわけで自分も休みを取り、シカゴ(7/1)とミルウォーキー(7/3)のウィンウッドライブを観に行くことにした。 シカゴは大都市であるから他の人も行くだろうと思っていたところ、イギリス人のバリーさんが行くとの情報を入手した。 バリーさんは、ウィンウッドの全米ツアーがあると必ず渡米してライブを数カ所見て回る。それにイギリスでも当然観に行くのだ。 しかも彼はトラフィックのライブも1960年代から見続け、スティーブとともに時代を生きてきた文字通りの生き証人。 まさに世界一のウィンウッドファンだ! その彼と共にライブを楽しめたらすごいにきまっている。さっそく彼にメールで尋ねてみたところ、ぜひ一緒に観ましょう、という返事がきた。 期待に胸を膨らませてシカゴに飛んだ。
食の祭典とフリーコンサート
シカゴで行われる有名なTaste of Chicagoのイベントは、毎年7月4日まで10日間ほど行われる食の祭典である。 会場ではありとあらゆる飲食物が売られていて、訪れた人は次から次へと食べ歩きをすることになる。 ダウンタウンにある会場のGrant Parkには今年はのべ360万人が訪れたというから驚きだ。 この「食の祭典」の呼び物のひとつに夕方から行われる 無料のコンサート がある。 そのすぐ近くにある野外のステージで毎日2組ほど出演するのだ。今年もウィンウッドやサンタナなど有名なミュージシャンのライブが予定されていた。 ただでウィンウッドのライブが観れるなんて、シカゴの人たちはなんと恵まれているのだろう。
Taste of Chicago
シカゴのホテルにチェックイン後、さっそくGrant Parkに行ってみる。 Taste of Chicagoの会場で自分も食券を買って、とりあえずイタリア風のサンドイッチを食べてみた。 味は普通であったが、ライブ終了後にまたいろいろ食べればいいか、と思った。 ボルティモアでのこと があるので、とにかくライブ前に何か食べておかないと後でまた苦しんでしまう。
今日はバリーさんに会うのが重要だと思ったので、さっそく待ち合わせ場所へ向かう。 待ち合わせ時間が遅めなので、今日はいい席でライブを観ることは難しいだろうが、 今回はバリーさんと一緒にライブを楽しめることができたら正直それで十分だと思った。 ところが、約束の5時をすぎてもそれらしき人は現れない。。。 彼の写真や今回着てくる服装などの情報は教えてもらったし、また自分は Arc of A Diver のTシャツを着るとも伝えてあったので、もし彼がここにいれば、お互いすぐに見つけられるはずだ。 そうこうしてるうちに人がとても多くなってきた。 最初のショーであるDr.Johnのライブ開始時間がせまっているので、結局バリーさんに会うのはあきらめることにした。。。
Dr. Johnのステージ
バリーさんに会えなかったのは正直ショックであったが、その状況で自分にできることをするしかない。 ライブ会場に移動するとすぐにDr.Johnのショーが始まった。会場は自分が予想していたよりもはるかに小さかった。 全部で数千人ぐらいしか入らないだろうか。ベンチいすが会場にずらりとならべてあり、また後ろの方は芝生の席になっていた。 フリーコンサートなので数万人が観るのかと思ったのだが、全く予想が外れた。Dr. Johnは全身青のスーツで登場。 その目立つ格好でピアノとオルガンを弾く。 そこでふと疑問に思ったのだが、あとで演奏するミュージシャンは他のミュージシャンの演奏を聴いたりしないのだろうか? そう思って会場を見渡すと、、、いました、いました! 会場右手にあるフェンスの向こうからステージを見つめているのはウィンウッドバンドのドラマーではないか。 その隣にはツアーのスタッフもいる。彼らは2-3曲聴いてから、どこかに去っていった。 ということは、ほかのメンバーだってショーを見に来るのではないか。 そう思っていたところ、ライブ中盤になってステージ左手奥から一人の男がゆっくり出てくるのを見つけた。 音楽に合わせて上体をわずかにゆらしているようにみえる。そうして袖からステージをじっと見つめている。 わずか30秒ほどであったが、ウィンウッドがステージを覗きにきたのだ!Dr.Johnは12曲ほど演奏し、約70分でライブは終了した。
ウィンウッドのライブ開始を待つ
Dr. Johnのライブ終了後に席を立つ人もいたので、前の方の席へ移動することにした。 ここの会場ではうれしいことに写真がOKだったので、前の方が都合がいい。運のいいことに9列目のオルガンのほぼ正面に空席を発見。 バリーさんに会うことが出来なかったので、今日は写真をたくさん撮る作戦に変更した。 フリーコンサートだけあって、客層は中年のみならず、かなり若い人もみえる。 自分のとなりにも10代ぐらいの若者がいたが、彼はコンサート前からじつに興奮していた。
フリーコンサートの開始
フリーコンサートといっても無料であること以外は普通のコンサートと同じである。7時過ぎにスティーブとバンドのメンバーが現れ、ライブが始まった。 1曲目は(カンニングした通り)Empty Pages。 去年までのツアーではランダール・ブランブレットがこの曲でソプラノサックスを吹いていたのだが、 今年のメンバーのジェイ・ダヴィッドソンはこの曲でテナーサックスを吹く。 ちなみにトラフィックの原曲にはサックスは入ってない。ジェイがやや長めのソロを披露する。 スティーブのボーカルもよく聞こえるが、全体の音量がやや大きすぎるようにも感じた。
それがなかなか心地よい。 ちなみに彼はAbout Timeの録音でもパーカッションを担当したが、 原曲にはこの音は出てきません。
Rainmaker
今年のツアーではインタープレイをより重視しているように思う。 Back in the high life againのイントロではスティーブ(マンドリン)、ジョゼ(ギター)、それにカール(トライアングル)の3人が向き合って演奏する。 イントロだけで実に2分に及んだ。イントロの最後にようやくこの曲のメロディーがでると大喝采がおきた。 そしてスティーブが歌いだすと聴衆も一緒に歌って盛り上がるのはどこの会場でも同じである。 曲の後半に入るとカールは壺のような楽器(写真参照)を胸に抱え、それを手のひらで軽く叩く。パチパチした音がしてなかなか面白い。 この曲でジェイが弾くオルガンもなかなかいいし目立っている。オルガンとギターでこの曲全体をまとめている感じだ。
Back in the high life again
次はDear Mr. Fantasyをトリオ(g,org,dr)で演奏する。 スティーブがステージの中央に立ってストラトを弾くのはやっぱり目立つし、さまになっている。 それに野外でやると、よりいっそう迫力があるようにみえるのは気のせいだろうか。今年のツアーではこの曲でオルガンの音がかなり目立つ。 前曲と同じく、聴衆皆がスティーブと一緒に歌ってもりあがる。
Dear Mr. Fantasy
Low Spark Of High Heeled Boysはライブではとても長いが、各奏者のソロがあるせいか退屈という感じはあまりしない。 サックスのジェイはときどき和音のようにハモッた音を出す。詳しくは分からないが、何かエフェクタを使っているようだ。 ジョゼのギターソロのクライマックスでは、他の楽器の音量も大きくなり、全体で盛り上げていく。
今回は短めのセットだったが、アンコールは2曲だった。出だしのジョゼのギターでCrossroadsだとすぐに分か る。 ジェイの吹くブルースハープに刺激されてか、スティーブのオルガンソロもなかなかしぶい。
最後はもちろんGimme Some Lovin'。フリーコンサートでここまで楽しませてもらって聴衆も満足であろう。 いつもと違いこの曲の最後でテンポがわずかに加速していった。今までにないパターンだった。
Gimme Some Lovin’
結局ライブは8:30すぎに終了。90分とやや短めのライブであった。 バリーさんに会うことはできなかったが、それでも前の方でライブを楽しみ、また写真もたくさん撮ることが出来たので、充分満足のいくコンサートだった。 これで無料とは素晴らしすぎる!
終了後Steveに会う
ライブ終了後、会場を出てステージの後ろへと移動する。 そこには例によってウィンウッドのツアーバスが横付けされていて、そのそばにファンが集合している(写真参照)。
自分もそこでスティーブをじっと待つ。1時間後にようやくスティーブが姿を現すと、ファンが乞食のように群がった。全部で20人以上はいただろうか。 自分もしっかり乞食の一員になってなんとかスティーブの方へ近づこうとした。英国紳士もこう乞食が多くては丁寧に対応しきれない。 先月のバルティモアの時に比べるとかなり適当だ。それでも一人一人からのリクエストに簡単に応えていた。 私はというと、ちゃっかりスティーブに最低限以上のことをしてもらいました。
スティーブといったん別れて
スティーブは明日ミシガン州北部のInterlochenでライブだ。 そこまで移動するのに最低6時間はかかるだろうか。 しかもそこから次のミルウォーキーへは8時間はかかるだろう。。。ライブをする方も移動が本当に大変だ。 自分はというと、スティーブを毎日追いかけるのはきついので、別のプランを用意していた。 明日ミルウォーキー入りしてSummerfestで2日にデイブ・メイソンのライブを、そして3日にスティーブの最終公演を観るのだ。 ミルウォーキーでは2人の因縁の対決をこの目で見ることになる。 そういう訳で自分は明日シカゴからミシガン湖西岸を北上し、またスティーブは逆方向を回って東岸沿いを北上し、それぞれの目的地へ向かう。 いったんお別れだが、3日にミルウォーキーで「再会」してツアー最終公演を迎えるのだ。今年のライブもいよいよ見納めだ。
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